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鍼灸と漢方との付き合い方

・鍼灸の考え方

鍼灸と漢方はどちらも古代中国より始まっており、体がもつ力を基にして体の状態を総合的に良くするという観点から成り立っています。どちらの施術方法も処方も、自然のものをもとにして考えられているという点が特徴です。方法も治癒していく過程も速度も異なりますが、それぞれが同じ基本の上になりたち、同じ目標を持って人の体に影響を与える存在として知られています。
鍼灸はハリと灸という方法によって、体の気血の流れを正しいものとすることを目的としており、筋肉や神経などに直接、または間接的に刺激を与えて、痛みや苦痛を取り除くことを目指します。局地的な痛みの緩和も期待でき、肩こり、腰痛といった慢性的な痛みにも利用されています。しかし痛みの緩和といった限定的な効果はあくまで鍼灸の一部でしかありません。鍼灸の本来の目的は体全体をトータル的に健康な状態にして行くことです。

・漢方の考え方

漢方というのは、やはり中国から起こった医学です。薬学的側面が強く、植物や鉱物、動物などから作った生薬を掛け合わせることで薬を作ります。生薬を幾種類もかけ合わせて、いろいろな種類がそれぞれに相乗効果を持ち体に良い影響を与えるものを漢方薬といいます。これには即効性のあるものもありますが、基本的には長い時間をかけゆっくりと効いていくものであるため、体質改善などによく利用されます。
漢方は中国から伝わったものですが、その後、日本独自に発展研究を続けたため、中国の技術、知識をもとにしてはいるものの、日本と中国では違うものである場合もあります。
生薬は特定の植物や鉱物、動物などから取り出されていますが、長い年月をかけて育てていかないと生薬として利用できないものもあり、またその植物などを薬として成り立たせるのにたいへん長い時間がかかる場合もあります。

・鍼灸との関係と考え方

漢方薬は生薬が複雑に組み合わされることによって、独自の効果を生み出していきます。自然のもので作られる生薬は体の自然の力を引き出すために使われ、漢方薬もまた人間の本来持っている力を引き出すことで、治療に使われています。これらの薬は保険適用となっているものも多く、医師の処方によって出されている場合も多いようです。小さな子どもなどにも利用され、無理のない力で健康へ導くものとして評価を受けているのです。
しかしこの薬は、徐々に体質の変化をもたらすものであるため、症状の改善がゆっくりとしている場合が多く、深刻な症状で早急な解決を望む場合には別の方法を採る必要があります。その時鍼灸が非常に役立ちます。鍼灸の働きも、根本では漢方と同じですが、筋肉やスジに直接効果をもたらすため、痛みやしびれなどの不快な症状を早く改善することができます。このように、漢方と鍼灸を掛け合わせた治療を取り入れることによって、ゆっくりと体質、体調の改善をしながら、不快症状の早急な対処を実現することが可能となります。