鍼灸と針灸の違いとは
・鍼灸の資格とはなにか
はり師ときゅう師の資格を合わせて、鍼灸師、または針灸師などと言いますが、この名称は正式には正しくありません。二つの資格は別のものですし、技術の内容も異なるものとなっています。しかし、そうは言っても、この2つの技術は同じ専門学校や養成施設での習得が可能となっており、また国家試験も同時に受験することができるようになっています。同時受験の場合には、ハリと灸で共通となっている試験科目の一方を免除されることにもなるので、一層二つ同時の受験はしやすくなっています。この国家資格も「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」という同じ法律によって定められていますし、この二つは切っても切れないものとなっています。同じようにあん摩マッサージ指圧師の国家資格についても、はり、灸と同じ養成施設で学べることもありますし、治療院でもこの3つの施術を行うパターンは多く見られます。
・鍼灸、針灸の違い
「鍼灸」、「針灸」と書いて、どちらもそれぞれ「しんきゅう」と読み、これをどちらも同じ意味と考えて、治療院の看板に使うこともあれば、それぞれ意味に違いを持つものとして慎重に使い方を分けていることもあります。「鍼」という文字が変換されにくかったり、読みにくいことから少し以前には、同様の意味として「針灸」を採用しているということもあったようです。どちらの「はり」の文字も治療で使用される細い金属製の道具のことを指し示し、「針」の方は特に道具としての意味として使用されることが多く見られています。そして、「鍼」の方は「針」を使用して行う施術自体やその技術について指し示し、この二つを使い分けているようです。基本的には、特にどちらを使うかの決まりはなく、どちらを使っているから良い、悪いということは全くなく、違いもありません。実際に国家資格としての呼び名は、「はり師」となっており、「きゅう師」とともに平仮名の表記がされています。
・はり師ときゅう師の歴史
そもそもはり師というのは、歴史がかなり深く、中国古来の伝統的な技術と理論から成り立っています。日本に入ってきたのは6世紀ごろとも言われ、職業として発展したのは江戸時代です。はり、灸ともその頃から多くの人に親しまれており、その時代の医療として大変重宝されてきました。江戸時代のころから盲人、視覚障がいを持つ人たちの職業として認められ、中国やその他アジアのエリアとは別の発展をしてきました。鍼治療の方法も、針を細い管に入れて体に刺入するなど中国鍼とは違うやり方で発展していきました。中国では「はり」は全て「針」で表されています。はりには、体に刺入するものだけではなく、ローラー鍼やごく短い針を皮膚に触れさせるような施術もあります。
はり師と同様にきゅう師も歴史は古く、この2つの技術はどちらも中国から来て、古くから発展してきました。視覚障がい者の職業として発展してきた技術は、現在では健常者、障がい者ともに専門職として学ばれています。